Orbspaceと三井住友海上火災保険、再使用型ロケットおよびスペースデブリに関する業務連携協定を締結
2024-05-22
再使用小型有人ロケットInfinityを開発するスタートアップOrbspace株式会社 (本社: 茨城県つくば市、代表: レンシュ・アーロン、以下「Orbspace」) は、三井住友海上火災保険株式会社 (本社: 東京都千代田区、代表取締役社長: 舩曵 真一郎、以下「三井住友海上」) と、再使用型ロケット開発と打上げに伴うリスク評価や、スペースデブリ事業に共同で取り組むことを目的として業務連携協定を締結しました。
背景・経緯
【再使用型ロケット事業】
再使用型ロケットは打上げ費用を劇的に低減しますが、完全な再使用型で低価格のロケットはまだ開発されていません。一方、打上げ需要はここ数年大幅な拡大を続けています。
Orbspaceはロケット開発のプロフェッショナルとして、実績に基づく完全再使用型の量産ロケットInfinityの開発を進めています。非常に小型でシンプルなInfinityは、サブオービタルへの打上げからスタートし、その後軌道打上げ、そして有人宇宙輸送まで複数の用途に対応します。また、グリーン燃料のバイオメタンを使用する他、完全再使用型のため打上げ後に宇宙空間や地上に機体が残らず非常にサステイナブルなロケットです。
三井住友海上はInfinityの開発を支援することに加え、打上げに伴うリスク評価、再使用型に適した新たな保険開発を進めていきます。
【スペースデブリ事業】
現在軌道上には、10cm以上の物体が約36,500個、1cm以上の物体は100万個以上もあると推定されています。このようなスペースデブリの急激な増加は、長期的な宇宙利用に大きなリスクをもたらします。特に運用中の衛星は、衝突を避けるために軌道を移動させなければならず、その度に燃料が消費され衛星の寿命が短くなり、衛星事業者にとって大きな負担となっています。
Orbspaceは、衛星をスペースデブリとの衝突から守るソリューション「ジャストインタイム衝突防止」を開発しています。「ジャストインタイム衝突防止」とは、Infinityロケット先端部より高密度のガスを噴出してスペースデブリの軌道をわずかに変更する「ナッジング」技術を活用するもので、Infinityロケットの量産化により、将来的には年間数百、数千回という高頻度打上げを実現して軌道上の多くのスペースデブリを除去することを目指します。
三井住友海上は、スペースデブリを除去する技術開発を支援し、スペースデブリの衝突事故低減を目指していきます。これにより、変動性が高い宇宙保険マーケットの安定化とサステイナブルな宇宙産業の実現に貢献していきます。
今回の連携を通じて、Orbspaceと三井住友海上は両社の知見を活かして宇宙輸送に関わる事業・技術開発、スペースデブリ等に関わる新たな保険商品やサービスの開発、リスクマネジメント、保険活用の推進などに向けて取り組むことで合意しました。
三井住友海上火災保険株式会社の概要
三井住友海上は、2001 年 10 月に、三井海上火災保険と住友海上火災保険の合併により誕生。2008 年 4 月には、グループ全体のより高度な事業多角化を目的として、持株会社体制に移行。2010 年 4 月には、三井住友海上グループ、あいおい損害保険、ニッセイ同和損害保険が経営統合し、「MS&ADインシュアランス グループ」が発足。 自動車、火災、傷害などの保険のほか、人工衛星打ち上げなどの際に加入する宇宙保険も手がける。
本社所在地:東京都千代田区神田駿河台3-9
代表取締役社長:舩曵 真一郎
設立:1918年10月
URL:https://www.ms-ins.com/
宇宙保険特設サイト:https://www.ms-ins.com/special/space/
Orbspaceの概要
2021年つくば市に設立されたOrbspaceは、再使用可能なサブオービタル小型ロケットInfinityを開発しています。極めて信頼性が高く、即応性に優れたこのロケットは、リアルタイムの追跡・撮像、短時間の宇宙旅行、軌道上のデブリ除去など、同じ設計の機体で幅広い需要や用途に対応します。サブオービタル運用開始後も、軌道まで打上げ可能な第2世代ロケットへと進化を続けます。実証された既存宇宙技術に、ハイテク金属材料と革新的な設計を組み合わせることで、高頻度打上げと量産を実現、打上げ価格を劇的に低減させることで、誰もが宇宙を利用できる時代の幕開けに貢献します。
E-mail:
URL: https://www.orbspace.com/
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